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セラミックス研磨需要急増の背景と主要な用途

目次

  1.  セラミックス研磨が急速に盛り上がっている背景と理由

  2. 代表的なセラミックス素材と具体的な用途

  3. セラミックスの加工を可能にする研磨技術

  4. セラミックス研磨の課題を克服する当社の対応

  5. まとめ

 

1.セラミックス研磨が急速に盛り上がっている背景と理由

 近年、セラミックスの研磨加工への需要は右肩上がりで急増しています。その主な理由は、テクノロジーの進化に伴う最先端産業での採用拡大と、セラミックスという素材特有の「難削性」に由来します。大きく分けて以下の3つの要因が牽引しています。

① 半導体・電子部品産業の爆発的な成長 

 セラミックス研磨需要を牽引する最大の要因は、半導体製造装置市場の拡大です。EV(電気自動車)やAIサーバーの普及により、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代パワー半導体の需要が激増しています。

 これらの素材は非常に硬く、回路形成のためにナノレベルの超精密研磨で極限まで平坦にする必要があります。また、半導体製造装置の内部部品(静電チャックやアーム、構造材など)にもセラミックスが多用されており、半導体の微細化に伴って、ゴミ(微粒子)や微小な凹凸を一切許容しない超平滑な表面仕上げが求められています。

② 次世代技術「光電融合」へのシフトと超精密加工の要求

 AIデータセンター等で課題となる「通信の超高速化」と「圧倒的な省電力化」を両立する「光電融合」技術の台頭も、需要を強く後押ししています。電気信号の一部を光に置き換えるこの技術では、以下のような領域で超精密研磨が必須となります。


•    超精密コネクタの製造

 光ファイバーなどの接続において、光はナノメートル単位のズレでも通信エラー(損失)を引き起こします。そのため、コネクタやフェルールには熱変形や経年劣化しないジルコニア等のセラミックスが必須条件として採用され、光が乱反射しないよう傷一つない「鏡面(ミラー仕上げ)」に研磨される必要があります。


•    光学結晶チップのCMP加工

 次世代の光電融合チップでは、シリコン基板上にニオブ酸リチウム(LiNbO3)などの機能性セラミックス(光学結晶)を薄膜として貼り付けます。光をスムーズに通す光導波路を作るためには、脆く熱に弱いこの結晶の表面凹凸をナノレベルで除去するCMP(化学的機械研磨)技術が必要不可欠です。光電融合は従来の電子回路とは桁違いの寸法精度と滑らかさが要求されます。

③ 金属・樹脂からの材料置換とセラミックスの「難削性」 

 過酷な環境に耐える「軽い」「熱に強い」「錆びない」「摩耗しない」という最強クラスの特性を活かし、宇宙航空分野、医療用インプラント、自動車のセンサー類などの重要保安部品において、従来の金属やプラスチックからセラミックスへの代替が進んでいます。 部品として組み込むためにはミクロン単位の寸法精度が必要ですが、セラミックスの最大の弱点は「非常に硬くて脆い(割れやすい)」ことです。金属のように機械特性を用いて刃物で削ろうとすると、工具が摩耗するかセラミックスにヒビ(チッピング)が入ってしまいます。

 一方で、化学特性に頼る減量(エッチングなど)に於いても、セラミックスは化学耐性に優れた材料が多く、化学的なアプローチだけでは加工が非常に困難となります。そのため、「メカニカル要素(機械特性)」と「ケミカル要素(化学特性)」の長所を組み合わせた CMP研磨(Chemical Mechanical Polishing)が有効となります。

2.代表的なセラミックス素材と具体的な用途 

 多岐にわたる最先端分野において、それぞれのセラミックス素材が持つ特長を生かした用途が広がっています。

① アルミナ(酸化アルミニウム / Al2O3) 

 物理的・化学的に優れ、融点が高く耐熱性に優れた酸化系セラミックスです。コランダムと呼ばれる結晶はダイヤモンドに次ぐ硬度を持ちます。高温下での安定性や、高い熱伝導性と電気絶縁性を持ち、シリコンに近い熱膨張係数を有します。
•    主な用途:高周波用薄膜回路基板、放熱基板、ヒーター基板、車載基板、センサー部材など。
アルミナ基板の研磨

② 窒化アルミニウム(AlN) 

 アルミニウムの窒化物であり、各種セラミックスの中で優れた熱伝導性と高い電気絶縁性を備え、シリコンと熱膨張係数が近い素材です。耐プラズマ性にも優れています。
•    主な用途:パワーエレクトロニクス用のヒートシンク、半導体・液晶・有機EL用アレイ製造における静電チャック用材料など。
窒化アルミニウムの研磨

③ 窒化ケイ素(Si3N4) 

 高温環境でも高い強度を保ち、急激な温度変化に耐える耐熱性や、耐摩耗性、酸・アルカリに耐える耐食性を併せ持つファインセラミックスです。
•    主な用途:自動車エンジン部品(ターボチャージャーのローター等)、機械部品(ベアリング等)、パワー半導体用基板、航空宇宙分野(ガスタービンブレード)、燃料電池・バッテリー部品など、熱のかかる過酷な環境で使われる部品。
窒化ケイ素の平面研磨

3.セラミックスの加工を可能にする研磨技術

 硬く脆いセラミックスを高精度に加工するためには、素材の性質に合わせた複数の研磨プロセスを適切に組み合わせる必要があります。

① 2つの研磨 工程

 セラミックスの表面を仕上げるプロセスは、大きく2つの工程に分かれます。

•    粗面研磨(ラッピング)

 炭化ケイ素やアルミナなどの硬度が高い砥粒を水に分散させたスラリーを用いて、鋳鉄などの硬質ラップ定盤で挟み込んで加圧しながら回転も加え研磨をします。これにより、表面の大きな傷や凹凸、うねりを取り除き、寸法と形状を整えます。


•    鏡面研磨(ポリシング)

 粗面研磨の後、軟質材料のポリシングパッドとさらに微細な研磨剤を使用し、表面の微小な傷や凹凸を取り除いて鏡面状態に仕上げます。

② 難加工材を克服する「CMP研磨(化学的機械研磨)」 

 窒化ケイ素のような非常に高い強度と硬度を持つ素材を、機械的な圧力のみで研磨しようとすると、表面にクラックが発生し、最悪の場合は割れてしまうリスクがあります。一方で、化学耐性も高いためエッチングなどの化学的アプローチ単独でも加工が困難です。 そこで重要になるのが、機械的な摩擦(メカニカル要素)と、薬品や研磨剤の化学反応(ケミカル要素)を組み合わせたCMP研磨です。これにより、難削材であっても表面の微細な凹凸を滑らかにし、極限まで均一な平滑化を実現することが可能になります。 
①で紹介した2つの研磨工程でもCMP研磨が活用されており、セラミックスの素材に合わせて研磨パッド、ラッピング材や研磨剤、添加剤を選定して研磨加工を行います。

4.セラミックス研磨の課題を克服する当社の対応

① 専用機が必要

 セラミックスは硬く脆いため高度な研磨技術を要します。高硬度ゆえに粗い研磨砥粒が不可欠となり、専用加工機の導入や、他素材加工時の入念なマシンクリーニングが課題となっています.
 当社は100台以上の研磨機を保有しているため、数量規模などの条件に応じて砥粒の大きさごとに専用の加工機を用意することが可能です。これまで培ってきたノウハウを基に、数ある「研磨剤(ラップ剤)」×「研磨パッド(ラップ定盤)」×「加工条件」を最適に組み合わせて、お客様が求める品質を追求いたします。 

② 加工時の化学反応に伴う作業効率低下と環境・安全課題

 窒化アルミニウムの湿式研磨・研削では、スラッジ(削りカス)と水の加水分解反応により大量のアンモニアガスが発生し、作業環境の悪化や安全面での対応が課題とされていました。
 当社は、加工液への添加剤投入によるアンモニアガス発生の抑制に加え、独自開発したスラッジ処理技術を確立。アンモニアガスの発生を極限まで抑え、安全かつ効率的な加工環境を実現しています。

5.まとめ

 AI、EV、半導体、光電融合といった次世代技術の進展に伴い、過酷な環境下でセラミックスを必要とする製品が急増しています。さらに寸法精度や表面平滑性への要求もミクロンからナノレベルへと高度化しており、最終仕上げを担う「研磨加工」の重要性は高まる一方です。

 当社は未経験の素材も含め、試作加工から最適な加工条件を徹底的に追求してまいります。研磨に関するお悩みは、ぜひ当社にご相談ください。

 

 

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