研磨加工技術ブログ|平面研磨加工のニットー

長尺基板の研磨加工について

作成者: ニットー|Oct 1, 2025 12:54:47 AM

 

このコンテンツの目次

  • はじめに
  • 標準的な加工方法
  • 長尺基板の加工方法
  • 長尺基板加工の難しさと対処方法
  • まとめ

はじめに

ニットーではガラスをはじめとし、セラミックスや樹脂・金属などあらゆる素材の平面研磨加工を行っております。大変ありがたいことに、加工ブログをご覧いただいたお客様から新案件のお引き合いにつながるケースもございます。

そこで今回は、比較的お問い合わせの多い長尺基板(ものさし形状品、バー形状品とも呼ばれます)の研磨加工についてご紹介いたします。

標準的な加工方法

長尺基板の加工方法の前に、標準的な加工方法を以下の図に示しました。

※ここでは両面研磨を想定しています。

下図には上定盤・下定盤・キャリア・ワークと4つの名称が記載されております。特にキャリアという名称がイメージしづらいと思うのですが、キャリアとはワークが加工中に飛び出さないように保持する治具の事です。

両面研磨では1台にキャリアを複数枚投入し、それぞれにワークをセットします。

※下図では4枚配置されております。

尚、加工するにあたり、ワークがキャリア内で一定の面積を確保する必要があります。

ワークが一定の面積を確保できた条件下で、上定盤・キャリア・下定盤がそれぞれ記載の矢印の方向に回転して表裏同時加工を行います。

長尺基板の加工方法

研磨加工時においては一定の圧力をかける必要がありますが、装置によって最低圧力が決められております。投入するワークの表面積が小さいと単位あたりに掛かる圧力が高くなりすぎるため、カケや割れなどの欠陥が発生してしまいます。その為にも、標準加工同様に一定以上のワークの表面積が必要となります。

また、回転しながら加工を進める事からバランスが重要となり、センターに1本の長尺を入れただけでは定盤が傾いてしまい不良の温床となってしまいます。

そのため、長尺基板を加工する場合は、「表面積」「バランス」を考慮した配置を行う必要があり、下記イメージ図のような複数枚をリクエストさせていただくケースが多いです。

※詳細につきましては、形状や厚み、仕様により異なりますのでお問い合わせ下さい。

 

長尺基板加工の難しさと対処方法

①数量が揃わない場合

一定数量のワーク(材料)が揃わない場合の対応策として、対象ワークと異なった寸法(厚みは同じ)の「ダミー基板」を使用する方法があります。

ダミー基板を用いることで、加工に必要な面積を確保できます。条件として、硝材Aを加工する場合、同じ硝材Aのダミー基板をご準備いただく必要がございます。

更に、材料とダミーの厚みをある程度揃えていただく必要もございます。揃える程度については、「ラッピングから加工の場合」「ポリシングのみの加工の場合」により条件が異なりますので、お問い合わせください。

ダミー基板のご用意が難しい場合、費用は掛かりますが弊社で準備することも可能ですのでご相談ください。

個別の案件ごとに最適な加工方法を提案させていただきます。

②形状が異なる基板が複数種類有る場合

形状が異なる基板が複数ある場合、キャリア内の配置を工夫することにより1バッチ内で加工できる可能性もあります。ただし、厚みや仕様により条件は異なります。

③平行度出し

長尺形状の場合は、1枚ずつ加工すると高水準の平行度を出すことが非常に困難です。

しかしながら当社の場合は、前述に記載の「ダミー基板の使用」「加工条件の工夫」など弊社独自のノウハウによりご要求内容にお応えしております。

まとめ

弊社にお問い合わせいただく基板は材質やサイズ、仕様が多種多様であり、標準的な研磨加工スキルだけでは仕様を満たせない案件が多くなっております。

ニットーには数多くの研磨加工実績があります。長年蓄積されたノウハウを受け継いでいる開発部隊をはじめ、各部署が組織横断型で課題解決できる体制を整えており、お客様の課題解決に向けて一丸となって取り組んでおります。

平面研磨加工に関する内容は、まずニットーにお問い合わせください。